タイムカードがない会社——残業代請求はむしろ通りやすい
2026-03-24
5秒でわかる結論
タイムカードがなくても残業代請求は可能——労働時間の把握義務は会社側にあり(安衛法66条の8の3)、PCログ・メール・手帳等から概括的に認定される。記録のない会社ほど訴訟で不利。
「うちはタイムカードがないから残業の証明はできないはず」——経営者の最も危険な誤解の一つです。実務は逆で、記録のない会社ほど訴訟で不利になります。
労働時間の把握義務は会社にある
2019年施行の改正労働安全衛生法66条の8の3は、客観的方法による労働時間の把握(タイムカード・PCログ等)を会社に義務づけました。平成29年の厚労省ガイドラインも客観的記録を原則としています。記録がないこと自体が会社の義務違反であり、裁判所の見る目は当然厳しくなります。
労働者側はこうした証拠を出してくる——何でも使える
- PCの起動・シャットダウンログ、業務システムのログイン記録
- メールの送受信時刻、LINE・Chatworkの投稿時刻
- ビル・オフィスの入退館記録、防犯カメラ
- 本人の手帳・日記・Googleタイムライン・家族への「今から帰る」メッセージ
記録が断片的でも、裁判所は概括的に認定します(「平日平均2時間の残業」など)。会社が反証の記録を出せなければ、労働者側の概算が通りやすくなります。
民訴法248条——金額は裁判所が算定できる
損害額の立証が性質上困難なときは、裁判所が弁論の全趣旨から相当な額を認定できます(民事訴訟法248条)。残業代訴訟では、時間立証の困難は記録を怠った会社側の不利益に働く方向で運用されています。
会社側の対策
- 客観的な労働時間記録を直ちに導入する(無料の打刻アプリもあります)。
- 記録の保存義務は5年(当面3年・労基法109条・143条)。
- 「記録がない=安全」は逆です。記録のない会社には反論の武器すらありません。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-24)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。