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労働時間の「客観的把握」は会社の法的義務(安衛法66条の8の3)——記録体制の整え方

2025-08-10

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5秒でわかる結論

2019年から労働時間の客観的把握は会社の法的義務(安衛法66条の8の3)。対象は管理監督者・裁量労働制適用者も含み、自己申告制には厳格な条件(基発0120第3号)。記録を出せない会社は残業代訴訟で労働者側の手帳・メール等による推計認定を受けやすい。開示請求への対応と整備チェックリストを会社側の視点で解説。

「うちはタイムカードがなく自己申告制」——現在の法律では原則許されません。2019年4月から労働時間の客観的把握は会社の法的義務であり、整備を怠ったツケは残業代訴訟で表面化します。

安衛法66条の8の3(2019年4月施行)

会社は、長時間労働者への医師の面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。省令(安衛則52条の7の3)はタイムカード・パソコンの使用時間の記録等の客観的な方法を原則とし、記録の3年間保存を定めます。

誤解の多いポイント:この義務の対象には管理監督者・裁量労働制適用者も含まれます。「管理職だから記録しない」は違法です(高度プロフェッショナル制度適用者は除外。別途健康管理時間の把握義務あり)。

自己申告制を使うにも厳格な条件

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日基発0120第3号)により、やむを得ず自己申告制をとる場合は、①労働者への十分な説明、②申告時間と入退館記録・パソコン記録等との乖離がある場合の実態調査・補正、③申告の上限設定など適正な申告を阻害する措置の禁止、が必要です。「名目は自己申告・実態は放任」は労基署調査の定番の指摘事項です。

記録がないと損をするのは会社

従業員・退職者から記録の開示請求が来たら

退職者からの内容証明によるタイムカード・パソコン記録の開示請求は、残業代請求の前哨戦です。開示拒否は得策ではありません:訴訟では文書提出命令の申立て(民事訴訟法219条以下)が可能で、正当な理由なく提出しなければ裁判所は相手の主張を真実と認めることができます(224条)。開示請求の段階で弁護士を入れ、開示と並行して自社の時間認定・固定残業代の有効性を検証し、請求額を予測しておくべきです。

整備チェックリスト

  1. タイムカード・PCログ・入退室記録等の客観的方法の導入(全事業場・管理職含む)。
  2. 申告時間と客観記録の乖離確認フロー(毎月)。
  3. 記録の3年保存体制(労基法109条の賃金関係書類は5年〔当分の間3年〕とあわせて整理)。
  4. 月80時間超の従業員への面接指導の運用。

※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-10)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。

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