休職中は無給なのに社会保険料は取られる——誰が・どう払う・払えないとき
休職中も社会保険料の自己負担分の支払義務が続くことを解説(健保法161条)。無給でも会社は納付義務を負い本人分を請求してくること、傷病手当金からの充当の工夫、住民税の普通徴収切替、未払のまま退職した場合の精算まで。
休職2か月目、会社から「社会保険料の本人負担分○万円を振り込んでください」という請求が届く。無給なのに?——残念ながら適法で、放置すると厄介です。
なぜ休職中も払うのか
休職は労働契約存続中の労務提供停止です。健康保険・厚生年金の被保険者資格は使用関係を基準とし、休職中も資格は継続、保険料は通常どおり発生します(標準報酬月額は無給になってもすぐには変わりません)。保険料は労使折半で(健康保険法161条、厚生年金保険法82条)、本人負担分の支払義務は消えません。
通常は給与天引き(健康保険法167条)ですが、無給では天引きできないため、会社は①毎月の振込請求、②立替えのうえ復職時精算、③傷病手当金の代理受領からの充当(本人同意が必要)等で処理します。
金額感
標準報酬月額30万円なら本人負担分はおおよそ健康保険1.5万円(介護保険該当ならさらに増)+厚生年金2.7万円=月4万円前後。傷病手当金(約20万円)が入っても軽くありません。
払わない・払えないときの帰結
- 会社への債務が積み上がります(会社の保険者への全額納付義務は変わらず、本人分は立替え)。復職・退職時の一括請求、退職金との相殺にはあなたの自由な意思に基づく同意が必要です(全額払原則・労基法24条)。
- 紛争化する前に、分割払・支払猶予を自分から会社と協議し書面に残しましょう。
負担を軽くする制度
- 傷病手当金(健康保険法99条):標準報酬日額の3分の2。ここから保険料分を確保します。
- 住民税:特別徴収は無給では続けられず、普通徴収に切り替えて自分で納付。納付困難なら市区町村に徴収猶予・減免を申請(地方税法15条、各自治体条例)。
- 産前産後休業・育児休業は別:保険料免除制度があります(健康保険法159条・159条の3、厚生年金保険法81条の2)。私傷病休職に免除制度はありません——よく誤解される点です。
- 退職する場合は任意継続被保険者(健康保険法37条)と国保の保険料比較も忘れずに。
外国人労働者の注意
休職や傷病手当金の受給自体は在留資格に影響しませんが、保険料の滞納は永住許可申請で不利に働きます(年金・健康保険の納付状況が審査されます)。分割協議でもよいので滞納を放置しないでください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-11)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。