休職に入る前に、有休が先か休職が先か——順序でお金が大きく変わる
2026-01-15
5秒でわかる結論
病気で休むとき有休と休職のどちらを先に使うべきかを解説。有休は賃金100%・休職は無給が多いこと、傷病手当金(約3分の2・通算1年6か月)との関係、休職発令と有休の優先関係、復職を見据えた使い分けまで。
病気で長期休養が必要になり、会社から「休職の手続を」と言われても、有休が20日残っているなら少し待ってください。どちらを先に使うかで家計の結果が大きく違います。
基本の有利な順序:有休→休職
- 有休:賃金100%(就業規則の定めによる通常賃金等)+出勤率の計算で有利+社会保険も通常どおり。
- 休職:多くの会社で無給(就業規則を確認)。生活は健康保険の傷病手当金=標準報酬日額の3分の2(健康保険法99条)。
単純比較で有休>傷病手当金。原則は有休を使い切ってから休職です。
重要な法解釈:休職中は有休を請求できない
有休は労働義務を免除する制度です。休職中はそもそも労働義務がないため、休職期間中は有休請求権を行使できないと解されています(昭和31年2月13日基収489号の趣旨)。休職に入ってからでは遅く、休職発令前に決める必要があります。
傷病手当金の時間軸
- 待期3日:連続3日の休み(有休・公休を含む)の後、4日目から支給(99条1項)。待期は有休で完成させても構いません。
- 有休日は不支給:賃金が出る日に傷病手当金は支給されません。ただし有休の方が金額は多いので損ではありません。
- 支給期間:同一傷病につき支給開始日から通算1年6か月(2022年改正で「通算」になり、途中の復職期間はカウントされません)。有休を先に使えば支給開始日が後ろにずれ、保障の終期も後ろに動きます——長期戦ではここが重要です。
例外:休職を先にする方がよい場面
- 復職後に有休を残したい:復職直後の通院・体調不良に備え、5〜10日残す戦略も合理的です。
- 退職の可能性が高い:未消化有休は持ち出せません(買取りは任意)。退職前提なら使い切る。
- 休職期間満了=自動退職の規定がある場合:有休を先に使えば休職開始日が遅れ、満了日も遅れます——復職までの時間稼ぎに有利です。
行動リスト
- 就業規則の確認:休職中の賃金・休職期間の長さ・満了の効果(自動退職か解雇か)。
- 有休残日数の確認。
- 主治医・会社と傷病手当金の申請準備(事業主証明+医師の意見欄)。
- 会社に休職を急かされたら「先に有休を消化します」と明示——時季指定権はあなたにあります(労基法39条5項)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-01-15)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。