給与明細の「社宅費」「親睦会費」——天引きが合法になる条件:24条協定
2026-07-17
5秒でわかる結論
社宅費・親睦会費などの賃金控除が適法となる条件(労基法24条ただし書の労使協定)を解説。協定なしの天引きは全額払い原則違反、控除できる項目の限界まで。
給与明細の控除欄:所得税・住民税・健保・厚生年金・雇用保険——ここまでは法定です。その下の「社宅費」「食事代」「親睦会費」「制服代」——これらは合法でしょうか。一枚の紙で決まります:24条協定です。
ルール(労基法24条1項)
- 賃金は全額払いが原則。例外は二つだけです:
- 法令に基づく控除:所得税(源泉徴収)・住民税(特別徴収)・社会保険料・雇用保険料。
- 労使協定(24条協定)に基づく控除:事業場の過半数組合(なければ過半数代表者)との書面協定+控除項目の明記——社宅費・寮費・食事代・財形貯蓄・組合費・親睦会費など。
- この協定は労基署への届出は不要ですが(36協定と違う点)、書面の存在が適法性のすべてです。
違法な天引きの類型
- 協定なしの天引き:すべて違法(120条・30万円以下の罰金)——「入社時に同意書にサインした」だけでは24条の要件を満たしません(協定は過半数代表と結ぶものです)。
- 協定はあるが項目外:協定に「社宅費」しかないのに制服代を引く、など。
- 損害賠償・罰金の天引き:レジの違算・備品破損の「弁償」天引きは、協定があっても全額払い・賠償予定の禁止(16条)との関係で違法性が高いものです。
- 強制加入の親睦会費:入会が事実上強制で退会もできない会費の控除は争えます。
行動手順
- 給与明細の控除項目を書き出し、法定4種以外をマークする。
- 会社に「24条協定の写し」の開示を求める(労働者代表が誰かも確認——選出が形骸化していれば協定自体の効力も争点になります)。
- 協定なし・項目外の天引き→過去分の返還を書面で請求(時効は賃金として当分3年)。
- 応じなければ労基署への申告(104条)——天引きの違法は賃金台帳で客観的に判定できるため、是正勧告が出やすい類型です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-07-17)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。