給料の五大原則——通貨・直接・全額・毎月一回・一定期日払い(労基法24条)
2026-01-13
5秒でわかる結論
賃金支払の5原則(通貨・直接・全額・毎月1回以上・一定期日。労基法24条)を解説。相殺の禁止(日新製鋼事件・福島県教組事件)、調整的相殺の限界、デジタル払い・口座振込の位置づけまで。
「会社が商品で給料を払うと言う」「給料を私の債権者に直接払われた」「今月は飛ばして来月2倍払う」——すべて違法です。労基法24条は賃金支払の五原則を定めており、あらゆる賃金トラブルの出発点になります。
五大原則(労基法24条)
- 通貨払い:現金が原則で、現物(商品・食事券)払いは禁止。銀行振込・デジタル払いは本人の同意を条件とする例外です(労基法施行規則7条の2)——会社が銀行を強制指定することはできません。
- 直接払い:労働者本人に支払わなければなりません。親・配偶者・債権者への支払いは不可。最三小判昭43.3.12民集22巻3号562頁(小倉電話局事件):労働者が賃金債権を第三者に譲渡しても、会社はなお労働者本人に直接支払わなければならない——直接払い原則は債権譲渡に優先します。未成年者の賃金を親が代わりに受け取ることも禁止です(労基法59条)。
- 全額払い:控除は原則禁止。例外は①法令上の控除(税・社会保険料)と②労使協定(24条協定)に定めた項目(社宅費・財形など)だけ。「物を壊したから天引き」「違約金の天引き」は協定なしでは違法で、協定があっても制約を受けます。
- 毎月1回以上払い:年俸制でも月ごとに分割して支払う必要があります。
- 一定期日払い:「毎月25日」など確定した日であること。「毎月最終金曜日」のような変動する定め方は不可です。
相殺のルール
- 会社が一方的に「労働者への債権」と賃金を相殺するのは全額払い原則違反です。
- 労働者の自由な意思による同意があれば相殺は適法(日新製鋼事件・最二小判平2.11.26民集44巻8号1085頁)——ただし「自由な意思」は厳格に認定されます。
- 計算ミスの過払いの調整(調整的相殺)は、時期の近接・少額など合理的な範囲で可能です(福島県教組事件・最一小判昭44.12.18民集23巻12号2495頁)。
違反があったら
24条違反は30万円以下の罰金(120条)。給料の天引き・遅配には、①書面での支払請求、②労基署への申告(104条)、③退職後の未払いには年14.6%の遅延利息(賃確法6条)が使えます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-01-13)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。