テレワーク中の「中抜け」と労働時間
2026-05-27
5秒でわかる結論
テレワーク中の「中抜け」を解説。指揮命令下の時間という労働時間の定義(三菱重工長崎造船所事件・最一小判平成12年3月9日民集54巻3号801頁)、厚労省ガイドラインが認める3つの処理(時間単位年休・終業繰下げ・休憩扱い)、無申告中抜けの懲戒リスク、事業場外みなし制の適用限界、会社側の規程3点セットまで。
在宅勤務中に30分子どもを迎えに行く「中抜け」の扱いは、会社の規程設計で決まります。
法的な出発点
- 労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間です(三菱重工長崎造船所事件・最一小判平成12年3月9日民集54巻3号801頁)。中抜け中は指揮命令を離れるため原則として労働時間ではなく、ノーワーク・ノーペイが基本です。
- 厚労省テレワークガイドライン(2021年3月改定)は、①時間単位年休の充当(労使協定が必要)②終業時刻の繰下げ③休憩扱いのいずれも認めています。
無申告中抜けの処理と管理の限界
- 中抜けを隠して全時間労働と申告すれば不実申告であり、累積すれば懲戒事由になり得ます(大量虚偽申告の極端な事案では解雇有効例もあります)。ただし、会社が申告ルールを明確に定めていることが前提で、ルールが曖昧なままの懲戒は逆に維持できません。
- 他方、1秒の離席も許さない完全禁止・過剰監視は、休憩の自由利用(労基法34条3項)や育児・介護への配慮との関係で問題を生み、定着率も損ないます。
会社側の設計
- 規程は、①申告方法②処理方法(時間単位年休/終業繰下げ/無給中断)③労働時間の把握方法(打刻・ログ)の3点セットで整備します。
- 事業場外みなし制(労基法38条の2)は、常時接続・随時指示型の在宅勤務には適用できず、原則は打刻管理です。
- 時間単位年休(労使協定で年5日分まで)は中抜け処理に最も親和的で、導入価値が高い制度です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-05-27)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。