老朽建物の建替えと立退き——立退料はいくら必要か
2025-10-27
5秒でわかる結論
老朽建物の立退きと立退料を解説。更新拒絶・解約申入れの正当事由(借地借家法28条)と6か月前通知(27条)、立退料は正当事由の補完要素であること、住宅は賃料6か月〜1年分前後・店舗は営業補償加算という相場観、双方の交渉実務と定期借家との違いまで。
「建替えるので半年以内に退去してほしい」——老朽アパートを持つオーナーにも、退去を求められた借主にも、避けて通れないのが立退料の問題です。
大前提——貸主は自由に退去させられない
- 普通借家契約は期間満了では終わりません。更新拒絶・解約申入れには正当事由(借地借家法28条)が必要で、6か月前の通知を要します(27条)。
- 正当事由は、双方の建物使用の必要性を主たる要素に、賃貸借の経過・建物の利用状況・建物の現況(老朽度)・立退料の提供(補完要素)を総合して判断されます。
- 「築50年だから建て替えたい」だけでは通常足りず、立退料で補完するのが実務の標準です。耐震性不足で危険性が高い場合には立退料が低額・例外的に不要となることもあります。
立退料の相場
- 住宅:移転実費(引越費用・新居の礼金敷金・仲介手数料)+賃料差額の一定期間分で、合計賃料6か月〜1年分前後に落ち着く例が多い。
- 店舗・事務所:上記に営業補償(休業損失・顧客喪失・造作撤去)が加わり、賃料数年分に達することもあります。
- 借主側の材料は居住年数・高齢・場所への依存度、貸主側の材料は老朽度・耐震診断書・具体的な建替計画です。
双方の実務
- 貸主:①耐震診断・建替計画など客観資料の準備②6か月前の書面申入れ③具体的条件(立退料・期限・原状回復免除)の提示④まとまらなければ調停・訴訟へ——判決は「立退料○○円の支払と引換えに明渡しを認める」形になります。ライフライン停止等の嫌がらせは違法です。
- 借主:退去同意書に即サインしない。正当事由の実質を確認し、条件を書面化させ、移転実費の明細で交渉する。なお定期借家契約は期間満了で確定的に終了するため立退料の問題は生じません——自分の契約類型をまず確認してください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-10-27)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。