「契約は2年、2年経てば部屋は戻る」——間違いです。日本の賃貸借は自動では終わらない
日本の普通借家は期間満了でも自動更新。更新拒絶には「正当事由」が必要で、立退料を払っても足りないことがあります。解決策は定期借家契約。
日本で不動産投資をする外国人が最も誤解しやすいのがこの点です。日本の普通借家契約は、期間が満了しても自動では終わりません。家主が何もしなければ契約は自動更新され、延々と続きます(法定更新)。
家主が更新を拒絶するには、期間満了の1年前から6か月前までに通知し(借地借家法26条)、さらに法律上の「正当事由」が必要です(同法28条)。裁判所は家主と借主の建物使用の必要性を比較し、「売りたい」「他に貸したい」では通常足りません。立退料も補完的要素にすぎず、お金を払えば必ず出て行ってもらえるわけではありません。契約書に「2年後に退去」と書いても、借主に不利な特約は無効です(借地借家法30条)。
合法的な解決策が「定期建物賃貸借(定期借家契約)」です。期間満了で確定的に終了し、更新がありません。ただし成立要件が厳格で、一歩間違えると普通借家に戻ります。
定期借家の実務チェックリスト
- ①契約で期間を定める:長短は問わず、1年未満も可。
- ②契約書に「更新がない」ことを一義的に明記:「自動更新」条項が同居していると定期借家と認められない。市販の書式を混用したときに最も起きやすいミス。
- ③書面(または電磁的記録)で契約:口頭では成立しない。
- ④契約前に、契約書とは別の説明書面で「期間満了により終了し、更新がない」ことを説明:これを欠くと更新否定条項が無効→契約全体が普通借家化する。説明は契約締結前に行い、書面を借主に交付。実務上は説明書面に借主の署名をもらい保管する。
- ⑤期間1年以上の契約は、満了の1年前〜6か月前に「終了通知」を送る:忘れると、通知から6か月経過するまで終了を主張できない。満了日はカレンダーで管理を。
- ⑥継続したい場合は「再契約」:定期借家に更新はなく、継続は新契約の締結。①〜④の手続を毎回やり直す。
なお、居住用建物について既存の普通借家を定期借家に「切り替える」ことには法律上の制限があり、新契約を結べば済む話ではありません。この場面は専門家に相談してください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-06-24)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。