家賃は上げられる——借地借家法32条の「賃料増減額請求権」
2026-09-25
5秒でわかる結論
借地借家法32条の賃料増減額請求は内容証明で行使した時から効果。不増額特約は有効、不減額特約は普通借家では無効。協議→調停→訴訟の流れ。
周辺相場は上がったのに契約はあと2年——増額できないのか。逆にテナントから減額要求——拒否できるのか。日本の借地借家法32条は、双方に特別な権利を与えています。
賃料増減額請求権(借地借家法32条)
租税・物価等の経済事情の変動により、または近傍同種の建物の賃料と比較して、現行賃料が不相当になったときは、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求できます。ポイント:
- 一方的な意思表示で効果が生じる権利(形成権)で、効果は請求時から。遡及しません。つまり増額したいなら早く請求するほど有利です(内容証明郵便で請求日の証拠を残す)。
- 「賃料は協議して定める」という条項があっても行使の妨げになりません。
- 使用収益の開始前には行使できません(最高裁平成15年判決)。
特約の効力:方向で結論が変わる
- 「一定期間増額しない」特約 → 有効(32条1項ただし書)。貸主は自分が何に署名したか要注意。
- 「減額しない」特約 → 普通借家では無効。32条は強行規定であり、自動増額特約があっても借主は減額請求できます(最高裁平成15年判決)。
- 例外:定期建物賃貸借では減額請求を排除する特約が有効です(借地借家法38条)。賃料の安定性を重視するオーナーは定期借家の検討を。
手続の流れ
①まず協議 → ②まとまらなければ裁判所に調停を申し立てる(賃料増減額事件は原則として調停前置)→ ③調停不成立で訴訟へ。相当賃料は不動産鑑定等の客観資料で判断されます。
オーナーへの実務アドバイス
- 増額請求は内容証明郵便で、行使日の証拠を残す。
- 客観資料の準備:周辺の成約相場、固定資産税の変動、不動産業者の査定。
- 借主からの減額請求も放置しない——争っている間の差額清算は膨らんでいきます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-09-25)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。