労災休業中は1日いくらもらえるか——休業補償給付の計算・申請・副業の合算
2025-06-04
5秒でわかる結論
労災の休業(補償)給付を解説。待期3日(業務災害は会社が休業補償)、4日目から給付基礎日額の6割+特別支給金2割で計8割、複数事業労働者の賃金合算(2020年改正)、解雇制限(労基法19条)との関係、支給が続く期間まで。
仕事中のけがで働けない間の収入は、労災保険の休業(補償)等給付が実質8割を填補します。計算の構造と申請実務を整理します。
給付の構造
- 休業補償給付(業務災害)/休業給付(通勤災害)=給付基礎日額×60%×休業日数(労災保険法14条)
- 休業特別支給金=給付基礎日額×20%
- 合計実質80%・全額非課税。
給付基礎日額=原則として労基法12条の平均賃金相当額(受災日以前3か月の賃金総額÷暦日数。賞与除外)。最低保障額の定めもあります。
支給要件と期間
- 3要件:①療養中②労働不能③賃金を受けていない。一部就労日は(給付基礎日額−実賃金)×60%の部分支給。
- 待期3日:業務災害はこの3日間を会社が平均賃金の60%で補償(労基法76条)。通勤災害にはこの会社負担はありません。
- 支給は治癒(症状固定)まで。1年6か月経過で傷病等級(1〜3級)該当なら傷病(補償)年金へ切替え。症状固定後に障害が残れば障害(補償)給付へ。
副業者に重要な改正(2020年9月〜)
複数事業労働者の給付基礎日額は全就業先の賃金を合算します(労災保険法8条3項)。本業30万円+副業10万円の人が本業で被災→合算40万円ベースで計算。副業先の賃金資料(源泉徴収票・給与明細)を用意しましょう。
申請の実務
- 様式第8号(業務災害)/第16号の6(通勤災害)に記入。事業主証明欄と医師の証明欄が必要です。
- 会社が証明を拒否しても申請はできます——その旨を添えて労基署に提出すれば労基署が会社に照会します。労災申請は労働者(遺族)の権利であり、会社の許可は不要です。
- 提出先は管轄の労働基準監督署。時効は賃金を受けない日ごとに2年(労災保険法42条)。
- 休業が続く間は1〜3か月ごとに反復請求するのが通常です。
不支給・打切りへの対抗
不支給決定には審査請求(労災保険審査官・決定を知った日の翌日から3か月以内)→再審査請求(労働保険審査会)→取消訴訟。「症状固定」判断による打切りも同様に争えます。並行して、会社への民事損害賠償(安全配慮義務違反・労働契約法5条)を、労災給付でカバーされない慰謝料・逸失利益の差額について検討します。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-06-04)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。