社員が仕事中にけが——労災発生時にやるべきこと・絶対にやってはいけないこと
労災発生時の正しい初動と、絶対にやってはいけない「労災かくし」(罰則あり)。療養中の解雇制限、安全配慮義務違反の上積み賠償リスク。
工場で社員が機械に手を挟まれた——このときの対応が、「単なる保険手続」で済むか「刑事・民事の大問題」になるかを分けます。
第一歩——治療優先+労災保険の申請
労災保険は業務災害について無過失で給付されます(療養補償給付=治療費全額、休業補償給付=約8割など)。保険料は全額事業主負担ですが、給付は国から出ます。従業員の申請への協力が原則で、事故原因に争いがあれば証明時に会社の意見を付すことができます。
絶対にやってはいけないこと——労災かくし
労働災害で労働者が死亡または休業したときは、労働者死傷病報告の提出が義務です(労安衛則97条)。報告をしない・虚偽の報告をする「労災かくし」は犯罪であり、50万円以下の罰金(労安衛法120条5号)。労基署は労災かくしに極めて厳しく、書類送検の例も多数あります。「治療費を会社が内々に払うから届けない」が一番危険な選択です。
療養中の解雇制限
業務上傷病の療養のため休業する期間とその後30日間は、原則として解雇できません(労基法19条1項)。
労災保険の外にある民事責任
労災保険は慰謝料等の全損害を填補しません。安全配慮義務(労契法5条)違反があれば、従業員は別途民事の損害賠償(上積み賠償)を請求できます。安全装置・安全教育・長時間労働の管理という平時の安全衛生管理が、予防であり訴訟時の防御です。
実務フロー
①救護・受診 ②現場保全と記録(写真・目撃者)③死傷病報告の提出 ④労災申請への協力 ⑤原因調査と再発防止策。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-13)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。