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「このけがは健康保険で」は犯罪の入口——「労災かくし」の構造と対抗法

2026-06-10

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5秒でわかる結論

労災かくし(労働者死傷病報告の不提出・虚偽報告)を解説。安衛法100条・120条5号の犯罪であること、2025年1月から電子申請が義務化、健康保険での受診を求められたときの対応、労働者自身で労基署に労災申請できること(会社の協力は不要)まで。

従業員の仕事中のけがに、現場の上司が「自分の健康保険で受診して。治療費は会社が出すから」——これは労災かくしの典型的な始まりです。なぜやってはいけないのか、何が起きるのか、会社は何をすべきか。

労災かくしとは

労働者死傷病報告(安衛則97条):休業4日以上の労災は遅滞なく、4日未満も四半期ごとに所轄労基署長へ提出する義務があります(安衛法100条)。故意に提出しない・虚偽記載(「自宅で転んだ」等)をするのが労災かくしで、50万円以下の罰金(安衛法120条5号)。厚労省は悪質事案を書類送検・公表しています。2025年1月からは死傷病報告の電子申請が原則義務化されました。

会社が隠したくなる理由——すべて短期的利益

いずれも短期的な利益にすぎず、書類送検・公表・その後の民事紛争と比べれば全く割に合いません。

健保処理で何が起きるか——従業員の損失=会社の紛争の火種

労働者側は止められない——隠蔽が必ず破綻する理由

  1. 会社が証明を拒否しても申請は止まりません:様式第5号(療養)・第8号(休業)に事業主証明拒否の旨を添えて労基署へ直接提出でき、労基署が会社に照会します——照会が来た時点で隠蔽は露見しています。
  2. 労基署への情報提供・申告(安衛法違反として)はいつでも起こり得ますし、隠蔽を強要した言動(録音・メッセージ)は証拠化されます。
  3. 申告者への解雇等の報復は労基法104条2項(申告を理由とする不利益取扱いの禁止)に別途違反し、労災療養休業中は解雇制限(労基法19条)もあります——報復は違法の上塗りです。

会社がすべきこと

労災発生時は、①最初から労災手続に乗せる(労災指定医療機関なら従業員の窓口負担なし)②休業4日以上の死傷病報告を遅滞なく提出(2025年1月から原則電子申請)③外国人従業員(技能実習生・特定技能)には特に注意——言語の壁を利用した「健保でいいから」が構造的問題として行政に注視されており、労災保険は在留資格を問わず適用され、悪質事案は書類送検・公表されます。メリット制による保険料増は、刑事立件よりはるかに安い出費です。

※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-06-10)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。

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