きょうだい共有の不動産、1人は売りたい1人は売りたくない——共有物分割の方法
2025-07-28
5秒でわかる結論
共有不動産のデッドロックは、最終的に共有物分割請求(民法256条)で解消できます。協議→調停→訴訟(現物分割・賠償分割・換価分割)。2023年改正で所在等不明共有者の持分取得制度も新設。
相続で兄弟共有になったマンション——兄は売りたい、弟は残したい、妹は台湾にいて連絡が取れない。共有は「紛争の保存状態」ですが、日本法は出口を用意しています。
共有の基本ルール
- 保存行為(修繕等):各共有者が単独で可。管理行為(短期の賃貸・管理委託等):持分価格の過半数。変更・処分(全体の売却・大規模改築):全員の同意(民法251条・252条)。
- つまり「1人が反対すると売れない」——これが共有のデッドロックです。自分の持分だけの売却は可能ですが、買い手は限られ価格も大幅に下がります。
出口:共有物分割請求
各共有者はいつでも分割を請求できます(民法256条)。協議→(調停)→共有物分割訴訟(258条)と進み、裁判所の分割方法は次の3つです。
- 現物分割:土地を物理的に分ける。マンション1室では通常不可能。
- 賠償分割(価格賠償):1人が全部を取得し、他の共有者に持分相当額を支払う。残したい人に資力がある場合の王道。
- 換価分割:競売を命じ、売得金を持分で分配。誰も譲らない場合の終着点ですが、競売価格は市価を下回りがちで全員に不利——この終着点の存在自体が協議を促します。
連絡の取れない共有者(2023年改正)
所在等不明共有者については、裁判所の裁判でその持分を取得する制度等が新設されました(民法262条の2・262条の3、2023年4月施行)。持分相当額を供託して取得する仕組みで、海外在住の相続人が行方不明という型の案件に新しい出口ができました。
実務のアドバイス
- 共有状態は放置するほど次世代の相続で共有者が倍増し、難易度が指数的に上がります。自分の代で解決を。
- 協議段階から不動産査定と税務(譲渡所得)をセットで検討——分割方法によって税負担が変わります。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-07-28)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。