離職票の「離職理由」は適当に書けない——自己都合と会社都合の大差と、争われる理由
離職票の離職理由で失業給付は大差(給付日数90〜150日vs最大330日・給付制限の有無・国保軽減)——だから離職者は争う。ハローワークは実態主義で、退職勧奨を「自己都合」と書いても覆される。助成金目当ての虚偽記載は最悪の選択。退職合意書での整理まで、会社側の正しい実務を解説。
従業員の退職時に会社が発行する離職票の「離職理由」欄は、相手の失業給付の金額・時期を直接左右します——その差は離職者が争う強い動機になるほど大きい。安易な記載は後で覆され、紛争の火種になります。
離職理由による3つの差
- 給付日数:自己都合90〜150日に対し、会社都合(特定受給資格者)は最大330日。
- 給付制限:自己都合は2025年4月から原則1か月(教育訓練を受ける場合は解除・5年内3回以上は3か月)。会社都合は待期7日のみで制限なし。
- 国保の非自発的失業者軽減・国民年金免除も離職理由に連動します。
受給要件も、原則「離職前2年間に12か月」に対し、特定受給資格者・特定理由離職者は「離職前1年間に6か月」と半分に緩和されます。
ハローワークは「実態主義」
会社が「自己都合」と書いても、実態が退職勧奨・ハラスメント・賃金不払等による離職なら、離職者の異議(録音・給与明細・シフト表等)により実態で認定し直す運用が確立しています。つまり実態と異なる記載は通らないうえ、「会社都合を隠そうとした」という印象を与え、相手を労働局・弁護士へ向かわせるだけです。
会社側の利害:助成金
雇用関係助成金の多くは「一定期間内に会社都合の離職がないこと」を要件としており、会社都合認定は助成金に影響し得ます。しかし助成金のために実態と異なる「自己都合」記載をするのは最悪の選択です——実態認定で覆された後は、虚偽記載の問題の方が大きくなります。
正しい実務
- 実態どおり記載:解雇は解雇、退職勧奨による退職はその旨(会社都合側の事由です)、合意退職は合意内容どおり。
- 退職勧奨がまとまったら退職合意書で整理:離職理由の記載方法も合意書に明記しておくと事後の紛争を大幅に減らせます。ただし実態が勧奨なら、合意書に「自己都合」とあってもハローワークは実態で認定し得ます。
- 離職者が異議を出す前提で準備:会社と離職者の主張が食い違えばハローワークは双方を調査します。面談記録・提示書面を残しておくこと。
- 外国人従業員も扱いは同じです(雇用保険加入者の受給資格に国籍は無関係)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-01-16)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。