台湾本社から日本子会社への出向——在留資格「企業内転勤」の要件と落とし穴
台湾本社から日本子会社への駐在に使う在留資格「企業内転勤」を解説。転勤直前1年以上の技人国範囲業務への従事(基準省令)、学歴不問(技人国との違い)、日本人と同等以上の報酬、親子・関連会社間の出向は「転勤」に含まれるが資本関係のない転籍は不可、在留期間5年・3年・1年・3月、家族滞在の帯同まで。
台湾本社から日本子会社へ幹部・技術者を常駐させる場合、「技術・人文知識・国際業務」より適合することが多いのが在留資格「企業内転勤」です。学歴は要件でなく、「転勤直前1年の職務内容」が審査の中心になります。
1 「企業内転勤」とは
入管法別表第一の二の在留資格で、外国にある本店・支店・関連事業所の職員が、期間を定めて日本の事業所に転勤し、「技術・人文知識・国際業務」に掲げる業務(企画・営業・翻訳・技術開発等)に従事するものです。工場作業や店頭接客などの現場労働は対象外です。
2 要件:学歴不問、「1年」がカギ
- 転勤の直前に、外国の事業所で技人国の範囲の業務に継続して1年以上従事していること(基準省令)。入社3か月の新人を直ちに派遣することはできません。
- 学歴要件なし。大卒でなくても本社での実務歴があれば通り得る点が技人国との大きな違いです。
- 日本人と同等以上の報酬。台湾の給与水準のまま低く設定するのは不許可の典型原因です。
3 「転勤」の範囲:親子会社・関連会社間の出向も含む
同一法人内の異動のほか、資本・出資関係を基準に親会社・子会社・関連会社間の出向も「転勤」に含まれます。他方、資本関係のない会社への転籍は「転勤」に当たらず、技人国(学歴・実務経験要件あり)で検討することになります。
4 在留期間と家族
在留期間は5年・3年・1年・3月。期間を定めた転勤という建前ですが更新に回数制限はなく、長期駐在も実務上あり得ます。配偶者・子は「家族滞在」で呼べます。永住許可申請の居住要件にも在留年数は算入されます。
5 経営者のチェックリスト
- 立証の核心は①日台両社の資本関係図②転勤前1年の在職・職務内容証明③日本側の職務内容・報酬。職務の連続性を示す。
- 現場作業を「兼務」させない——活動範囲外の労働は資格外活動となり、会社側に不法就労助長罪のリスク。
- 日本子会社へ転籍させる予定なら、技人国への在留資格変更を併せて検討する。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-08-21)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。