年休を取ると皆勤手当カット——沼津交通事件と不利益取扱いの限界
2026-10-09
5秒でわかる結論
年休取得と皆勤手当カットを解説。労基法附則136条の性質と公序良俗(民法90条)による無効の二段構造、沼津交通事件・最二小判平成5年6月25日民集47巻6号4585頁(少額の皆勤手当減額は有効)と日本シェーリング事件・最一小判平成元年12月14日民集43巻12号1895頁(賃上げ除外は無効)の対比、賞与・考課への連動の危険性まで。
有休を取ったら皆勤手当がなくなる——適法かどうかは、その措置が年休取得を実質的に抑制するかで決まります。
法的枠組み
- 労基法附則136条は年休取得を理由とする不利益取扱いをしないよう求めますが、判例上は努力義務的性質とされます。
- ただし、措置が年休取得を実質的に抑制し労基法39条の趣旨を失わせるときは、公序良俗(民法90条)により無効となります。
対照的な2つの最高裁判例
- 沼津交通事件(最二小判平成5年6月25日民集47巻6号4585頁):有休1日取得による皆勤手当4,100円の減額(月収の約1.6%)は、抑制効果が大きくないとして有効。
- 日本シェーリング事件(最一小判平成元年12月14日民集43巻12号1895頁):出勤率90%未満の者を賃上げ対象から除外し、年休・産休等を欠勤扱いした措置は公序良俗違反で無効。
- 判断基準は、減額の規模・手当の性質・取得意欲への抑制の程度の総合判断です。少額の皆勤手当は有効となり得ますが、賞与・昇給・昇格への連動は無効方向です。
類型別の整理
- 年休発生要件の出勤率計算で年休日を欠勤扱いすることは明文違反です(39条10項)。
- 人事考課での年休取得のマイナス評価は抑制効果が直接的で違法性が高いといえます。
減額されたら
- 就業規則・賃金規程の該当条項と減額の実額を確認し、月収・年収比を計算します。規模が大きい場合は条項の無効を主張して差額請求が可能です。給与明細と査定資料が証拠になります。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-10-09)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。