「会社一斉の夏休みを有休から引く」は合法か——計画年休(計画的付与)の条件
有休の計画的付与(労基法39条6項)の条件を解説。労使協定の必要性、5日を超える部分に限ること、保有日数が足りない労働者への措置、年5日取得義務の時季指定や会社都合休業との区別まで。
「8月13〜15日は全社休業、3日分は各自の有休から控除」——適法かどうかは労使協定の有無と、あなたに自由な5日が残るかで決まります。
計画年休制度(労基法39条6項)
過半数組合(なければ過半数代表者)との書面による労使協定があれば、有休日数のうち5日を超える部分について計画的に付与できます。方式は:
- 事業場一斉(お盆・年末年始の連休化)
- 班・部門別の交替制
- 個人別(計画表方式)
効果として、計画的付与部分には労働者の時季指定権も会社の時季変更権も行使できません。
「5日」は個人の自由の最低保障
年12日保有者なら計画的付与は最大7日で、5日は個人の自由な指定のために残す必要があります。保有日数が少なく計画日数に足りない労働者(新人・比例付与のパート)には、特別休暇の付与や計画日からの除外等の措置が必要です。「有休がないから無給で休め」という欠勤扱いは違法で、特別休暇の付与か休業手当(労基法26条)の支払による対応が求められます。
協定のない「一斉消化」は違法
労使協定なしに会社が一方的に「この日は有休」と指定することはできません(時季指定権は労働者にあります)。次の制度との区別に注意:
- 年5日の確実な取得義務(39条7項・2019年〜):10日以上付与される労働者に年5日取得させる義務。この場面では会社が意見聴取のうえ時季指定できますが、労働者の意見の尊重が求められます(施行規則24条の6)。
- 会社都合の休業日:会社が自ら決めた休業は休業手当(平均賃金の6割以上・労基法26条)の問題であり、勝手に有休から引くことはできません。
確認ポイント
- 計画年休を告げられたら労使協定の存在と内容(対象日・対象者・付与日数)の確認を求める。
- 自由な5日が侵食されていないか(計画的付与後に自由指定できる日が5日未満にならないか)。
- 過半数代表者の選出が不適正(会社の指名等)なら協定自体が無効で、計画的付与も無効です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-20)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。