退職金の税金は意外なほど軽い——ただし「あの申告書」を出さないと20%引かれる
2025-05-28
5秒でわかる結論
退職金は退職所得控除(勤続年数×40万円、20年超部分は×70万円)+2分の1課税・分離課税で税負担が軽い(所得税法30条)。ただし「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと一律20.42%源泉徴収され、確定申告で取り戻すことになる。勤続5年以下の短期退職の例外も解説。
退職・帰国のときに受け取る退職金に、日本の税制は異例なほど優遇された扱いを用意しています——ただし1枚の紙を出さないと、まず20.42%引かれます。仕組みを整理します。
なぜ軽いのか:三段階の優遇(所得税法30条)
- ①退職所得控除:勤続20年以下=40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超の部分=70万円×年数。例:勤続10年→控除400万円。退職金が400万円以下なら税はゼロです。
- ②2分の1課税:控除を超えた部分も×2分の1したものだけが課税所得になります。
- ③分離課税:他の所得と分けて税率が適用されます——あなたの累進税率を押し上げません。
- 例外:勤続5年以下の場合——役員等には2分の1課税が適用されず、一般従業員でも(控除後)300万円を超える部分は2分の1になりません(短期退職手当等)。短期転職の多い人は注意。
最重要の1枚:「退職所得の受給に関する申告書」
- 退職前にこの申告書を会社へ提出すれば、会社が上記の優遇どおりに源泉徴収し、課税関係はそこで完結します(原則確定申告不要)。
- 提出しないと、控除を無視して一律20.42%の源泉徴収です(所得税法201条3項)。引かれすぎた分は自分で確定申告しないと戻りません。会社が用紙を渡し忘れることは珍しくないので、退職手続の際に自分から確認を。
外国人特有の場面
- 帰国後(非居住者になってから)退職金を受け取る場合:国内勤務期間に対応する部分が20.42%源泉徴収されます(非居住者の退職所得)。このとき「居住者と同様の計算」を選ぶ選択課税(所得税法171条)を納税管理人を通じて申告すれば、多くの場合大幅に還付されます——年金の脱退一時金の還付と並んで、最も取り逃しやすいお金です。
- 退職金に社会保険料はかかりません(標準報酬ではないため)。住民税は分離課税でその年に徴収されます。
- なお、退職金制度の有無・金額自体は就業規則・退職金規程の問題です(退職金の記事参照)——「もらえるか」は契約、「税金はいくらか」は本記事です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-05-28)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。