帰国前に忘れずに——年金の「脱退一時金」
帰国する台湾人が見落としがちな年金の脱退一時金。出国後2年以内・上限8年分(2026年4月から)、源泉税20.42%の還付手続まで——取り戻す手順を解説。
日本で働いた台湾人が帰国時に最も見落としがちなお金が年金の脱退一時金です。日本と台湾の間に社会保障協定はなく、加入10年未満では日本の年金を受け取れません。その補償としての「取り戻す」制度です。
請求できる条件
- 日本国籍でないこと
- 厚生年金・国民年金の加入期間が合計6か月以上
- 被保険者資格を喪失し、日本に住所を有しないこと(転出届の後)
- 出国後2年以内の請求(最重要の期限)
- 年金の受給権がないこと
いくら戻るか
厚生年金の脱退一時金は概ね「平均標準報酬額×支給率」で、支給率は加入月数に応じて決まります。上限は従来60か月(5年分)でしたが、2025年成立の年金制度改正法により、2026年4月1日から8年(96か月)に引き上げられました。同改正により、再入国許可(みなし再入国許可を含む)の有効期間内は請求できなくなった点にも注意してください。10年加入して年金受給を目指すか一時金を取るか、長期在留者は検討が必要です。
税金の還付も忘れずに
厚生年金の脱退一時金からは20.42%の所得税が源泉徴収されます。日本に納税管理人を指定して退職所得の確定申告をすれば、その大部分の還付を受けられます。この一歩を知らずに2割を置いていく人が少なくありません。
流れ
①出国前:基礎年金番号の確認、納税管理人の届出(税務署)②出国(住民票の転出)③日本年金機構へ郵送またはオンラインで請求 ④支給決定後、納税管理人経由で還付申告。
※雇用中に会社が社会保険に加入させていなければ、このお金はそもそも存在しません。社会保険の加入は雇用主の義務です(関連記事参照)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-07-08)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。