台湾にいながら日本の財産を相続したら——日本の相続税の課税範囲と10か月の期限
2025-06-05
5秒でわかる結論
課税範囲は被相続人・相続人の住所と在留歴で決まる(相続税法1条の3・2条)。台湾在住の相続人は原則国内財産のみ課税。基礎控除3,000万円+600万円×人数、申告期限10か月(相続税法27条)。小規模宅地特例が使えない場合も。台湾側の遺産税にも注意。
日本で働いていた父が亡くなり、東京のマンションと日本の預金が残された——台湾に住む家族に日本の相続税はかかるのでしょうか。かかります。ただし課税範囲には限定があります。
課税範囲:「人」の属性で決まる
- 日本の相続税の課税範囲は、被相続人(亡くなった人)と相続人それぞれの住所・在留資格・過去10年の居住歴で決まります(相続税法1条の3・2条)。
- 典型型①:被相続人が日本在住(就労系の在留資格で居住10年以内の「外国人被相続人」)+相続人が台湾在住→台湾の相続人は原則日本国内財産のみに課税されます。
- 典型型②:被相続人も相続人も日本に長く在住→全世界財産に課税されます(台湾の不動産・預金も含まれます)。
- 「国内財産」の判定は、不動産は所在地、預金は支店の所在地、株式は発行法人などによります(相続税法10条)。
計算の基本
- 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数(相続税法15条)。遺産がこれ以下なら課税されず、原則申告も不要です。
- 税率は10〜55%の累進です(相続税法16条)。配偶者の税額軽減(1億6,000万円か法定相続分までは無税——相続税法19条の2)など控除は大きいものの、多くの控除は申告が要件です。
- 非居住の相続人の注意点として、未成年者控除・障害者控除に制限があり、小規模宅地等の特例(自宅土地の最大8割減)は台湾在住の相続人には使えないことが多い——影響額が巨大なので事前検討が必須です。
期限と手続
- 10か月:相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付(相続税法27条)。過ぎると無申告加算税・延滞税のほか、配偶者軽減などにも影響します。
- 台湾にいる相続人は納税管理人を指定して日本での手続を進めます。日本の遺産分割協議書や台湾の戸籍書類(相続人確定用)の翻訳・認証が必要で、日本人同士の相続より時間がかかります。10か月は意外に短いです。
- 日本の不動産は相続登記(2024年4月から義務化。取得を知ってから3年以内——不動産登記法76条の2)が必要です。
最後の注意:台湾側にも遺産税があります(台湾の居住者等は全世界の遺産に10〜20%)。台日双方で課税される可能性があり、台湾側での外国税額控除の検討余地があります——国際相続は必ず両国の専門家に同時に相談してください。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-06-05)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。