賞与にも社会保険料がかかる——賞与支払届・上限・退職月の賞与、経営者の盲点整理
2026-09-01
5秒でわかる結論
賞与の社会保険料を解説。年3回以下の支給の賞与は標準賞与額(千円未満切捨)×料率を労使折半、支給日から5日以内の賞与支払届、上限(健保は年度累計573万円・厚年は1か月150万円)、資格喪失月に支給した賞与は原則保険料がかからないこと(月末退職を除く)、雇用保険料は賞与にもかかることまで。
「賞与はご褒美だから保険料はかからないだろう」——かかります。しかも会社負担も同額発生します。賞与支払届を忘れると、年金事務所の調査で後から指摘されます。
基本ルール
- 対象:年3回以下で支給される賞与・一時金(年4回以上支給なら標準報酬月額に組み込んで処理——「定例年2回+決算賞与が偶発1回」のカウントに注意)。
- 標準賞与額=実際の支給額の千円未満切捨て→健保・厚年の料率を乗じる(労使折半)。
- 賞与支払届:支給日から5日以内に年金事務所へ提出(賞与支払予定月を登録していれば用紙が届きます・電子申請可)。
- 雇用保険料も賞与に課されます(労働保険の賃金総額に賞与を含む)。所得税の源泉徴収も賞与専用の税額表があります。
上限(高額賞与の天井)
- 健康保険:年度(4月〜3月)累計573万円が上限。
- 厚生年金:1か月150万円が上限(同月内の複数回支給は合算)。
- 超過部分には保険料がかかりません——高額役員賞与・業績連動設計のときに知っておくべき数字です(役員賞与は法人税の損金算入に事前確定届出給与などの別問題があります——税務面は別途確認を)。
退職月の賞与(最も間違えやすい)
- 保険料の原則:資格喪失月の賞与には保険料がかかりません。退職日の翌日=資格喪失日なので、月の途中の退職者がその月に受けた賞与→不課。
- 月末退職:資格喪失日は翌月1日→退職月はまるごと資格あり→その月の賞与にはかかります。
- ただし賞与支払届自体は、資格喪失者への支給でも記載が必要な場合があります(健保の年度累計管理のため)——案内に従って処理を。
- 注意:保険料を避けるため賞与を退職後支給にずらす等の操作は、調査で指摘されます。
設計上の注意
- 就業規則・賞与規程に「支給日在籍要件」の有無を明記(退職予定者の賞与トラブルの源——書いてあれば規定どおりです)。
- 賞与の社会保険料は会社コストの一部:100万円の賞与を出すと、会社の実負担は約115万円(健保・厚年・雇用・労災の会社分)——資金計画に織り込むこと。
- 「月給を賞与に振り替えて標準報酬月額を下げる」節約術:年3回以下なら月額の基礎は小さくなりますが、賞与自体に保険料がかかり、年4回以上なら月額に組み込まれます——効果は限定的で、過度な操作は調査リスクです。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-09-01)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。