部下がセクハラ被害に——会社も賠償する「使用者責任」と措置義務
2025-06-25
5秒でわかる結論
セクハラは加害者本人だけでなく会社も使用者責任(民法715条)で賠償。均等法11条の防止措置義務も。管理職への厳しい懲戒は有効——L館事件(最一小判平27.2.26労働判例1109号5頁):事前警告は処分の前提ではない。
職場のセクハラで賠償するのは加害者本人だけではありません。会社も賠償責任を負います。他方で、セクハラ言動への厳しい懲戒処分は最高裁がはっきり後押ししています。
会社の二層の責任
- 民事責任:加害者の不法行為(民法709条)に加え、会社は使用者責任(民法715条)により「事業の執行につき」行われた加害行為について連帯して賠償します。職場内や業務関連の酒席でのセクハラは多くが該当します。職場環境配慮義務違反(民法415条)という会社固有の責任構成もよく用いられます。
- 行政上の義務:均等法11条は防止措置義務——方針の明確化・相談窓口・事後の迅速適切な対応・不利益取扱いの禁止など(指針が詳細を規定)——を課し、怠れば労働局の行政指導や企業名公表があります。
L館事件——厳しい処分は正当
最一小判平成27年2月26日(海遊館・L館事件・労働判例1109号5頁)は、女性従業員への性的発言を繰り返した管理職2名への出勤停止・降格について、「事前の警告がなかった」「明白な拒否がなかった」との主張を退けました。管理職はセクハラ禁止を当然知るべき立場にあり、被害者が明確に抗議しないことは同意を意味しない(職場の人間関係から抗議は困難)——処分は有効。会社が毅然と対応してよいというメッセージです。
発生時に会社がすべきこと
- 相談を受けたら速やかに事実調査(当事者・目撃者のヒアリング、LINE等の客観証拠)。
- 調査中の接触禁止・席替えなどの暫定措置。
- 認定後は就業規則に基づく懲戒処分+被害者の職場環境回復+再発防止。
- 相談者・調査協力者への不利益取扱いの禁止(均等法11条2項)——「相談した人が異動させられる」のは第二の違法です。
台湾人経営者への注意
「この程度は母国では問題にならない」は抗弁になりません。日本のセクハラ該当性は被害者の受け止め+平均的な労働者の感じ方を基準に判断され、酒席での身体接触・容姿への言及・執拗な誘いは典型的なアウト事例です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-06-25)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。