生理日で働けない——生理休暇(労基法68条)の請求方法と誤解
2025-05-23
5秒でわかる結論
生理休暇(労基法68条)の請求方法を解説。医師の診断書は原則不要(エヌ・ビー・シー工業事件)、無給でもよいこと、不利益取扱いの限界、日数制限の可否まで。
生理休暇は日本の労基法に明文があるのに、利用率が極端に低い制度です——「言い出しにくい」「診断書が要ると思っていた」「査定に響くのが怖い」。まず正しいルールを知ってください。
制度の内容(労基法68条)
- 生理日の就業が著しく困難な女性が請求したときは、会社はその者を生理日に就業させてはなりません。
- 日数に上限なし:「月1日まで」といった就業規則の上限は、「著しく困難」な日については効力がありません(行政解釈:有給とする日数の上限は定められますが、休暇自体は制限できません)。
- 証明:診断書は原則不要——同僚の証言程度の簡単な疎明で足ります(行政通達)。毎回医師の証明を求める運用は違法のおそれがあります。
- 単位:全日・半日・時間単位のいずれでも請求できます。
賃金
法律は有給を要求していません——無給の会社が多数です(就業規則を確認)。無給の場合は年休で代替することもできます(ただし有休は労働者が指定する権利で、会社が勝手に「有休処理」はできません)。
不利益取扱いの限界
- エヌ・ビー・シー工業事件(最三小判昭60.7.16民集39巻5号1023頁):精皆勤手当の算定で生理休暇を欠勤扱いにした事案で、権利行使を実質的に抹殺するものではないとして許容——しかし権利行使を著しく困難にする設計(賞与の全額剥奪など)は違法という枠組みが確立しています。
- 取得を理由とする解雇・降格・嫌がらせは権利濫用・不法行為の問題になります。
実務での伝え方
- 就業規則で「生理休暇」条項を確認(有給・無給・手続)。
- 請求先は上司または人事——「労基法68条の休暇」と明確に伝える(チャット履歴を残す)。
- 拒否された・診断書を要求された・査定を下げられたとき:労基署への申告(104条)・都道府県労働局への相談。68条違反には30万円以下の罰金があります(120条)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-05-23)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。