「店長」の肩書きで残業代は不要?——「名ばかり管理職」という有名な誤解
2025-12-05
5秒でわかる結論
「店長だから残業代不要」は危険な誤解。管理監督者は実態で判断され(日本マクドナルド事件)、該当しても深夜割増は必要です(最高裁判例)。
「店長は管理職だから残業代はいらない」——人事労務で最も有名な誤解のひとつです。
法律は肩書きではなく実態を見る
労基法41条2号の「管理監督者」には労働時間・休憩・休日の規定が適用されません(通常の残業代が発生しません)。しかし誰が管理監督者かは会社が決められるものではなく、行政解釈・裁判例とも一貫して実態で判断します。ポイントは3つです。
- 権限:経営に実質的に参画し、労務管理について指揮監督権限があるか。
- 時間の裁量:自己の出退勤に裁量があるか、一般従業員と同様に管理されていないか。
- 処遇:その地位にふさわしい待遇か。
日本マクドナルド事件
直営店店長の残業代請求につき、東京地裁(平成20年1月28日判決)は、店舗の管理はしていても企業全体の経営への関与や労働時間の裁量、処遇が不十分として管理監督者性を否定し、会社に残業代の支払いを命じました。以後、店長・料理長等の管理監督者性を否定した裁判例は多数あります。
管理監督者でも深夜割増は必要
仮に真正の管理監督者でも、深夜(22時〜5時)の割増賃金は必要です(ことぶき事件・最高裁平成21年12月18日判決)。年次有給休暇も適用されます。
チェックリスト
- 肩書きと少額の役職手当だけで管理監督者扱いするのは高リスクの典型。
- 権限・時間の裁量・処遇の3点を検証し、明らかに欠ける要素があれば扱いを見直す。
- 該当しない場合、未払い残業代は3年分遡って請求され得る。
- 管理監督者についても労働時間の把握は必要(健康管理の観点からも法律上求められます)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-12-05)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。