ハンコを押す前の5分チェック——中小企業の契約書レビューの基本
契約書レビューの基本を解説。契約自由の原則(民法521条)、契約不適合責任(562条以下・566条の通知期間)、中途解約条項、損害賠償の上限・免責条項、合意管轄、印紙税(電子契約は不課税)、相手方ひな形への修正交渉まで。
日本の民法は契約自由の原則(民法521条)を採ります。何を合意するかは原則自由——裏を返せば、不利な条項に署名すれば、裁判所も原則その契約どおりに判断します。BtoBの契約では、法律は双方を対等なプロとして扱います。
最低限のチェックリスト。①基本事項:当事者、契約の目的物(十分具体的か)、代金額と支払時期・方法。「代金は別途協議」は紛争の種です。②契約不適合責任:引き渡された物や仕事が契約の内容に適合しない場合、買主は追完・代金減額・解除・損害賠償を請求できます(民法562条〜564条)。種類・品質の不適合は知った時から1年以内の通知が必要(566条)。この期間を短縮(「引渡後3か月」等)あるいは無限定にする条項には交渉を。③中途解約条項の有無、予告期間、違約金。解約条項のない有期契約は原則中途で一方的に解約できません。④損害賠償の上限・免責条項:「受領済み代金額を上限とする」「間接損害・逸失利益は賠償しない」等。システム開発などで一般的で、有効性は原則認められます(故意・重過失は別論)。受託側なら自ら入れるべき条項です。⑤合意管轄:「東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」——大阪の会社なら毎回東京まで出廷です。自社本店地または被告地に修正を。⑥反社条項・秘密保持・自動更新条項も確認。
印紙税。紙の契約書では請負契約書(2号文書)、継続的取引の基本となる契約書(7号文書・4,000円)等が課税文書です。電子契約は不課税——電子契約普及の大きな理由です。貼付漏れは契約の効力に影響しませんが、過怠税(本来の3倍)が課されます。
相手が出してくるひな形は必ず相手有利にできています。「皆このまま署名している」は修正できない理由になりません。金額が大きい契約は、数万円の弁護士レビューが事後の訴訟より遥かに安くつきます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-10-11)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。