火災保険で「地震」はカバーされるか——されません。地震保険の仕組みと借主が入るべき保険
2026-09-21
5秒でわかる結論
地震による損害(地震火災含む)は火災保険では出ない——地震保険の付帯が必要(地震保険法。上限は火災保険金額の50%)。借主に必要なのは家財保険+借家人賠償責任特約。隣家からの延焼は失火責任法で賠償請求できないから自衛するしかない。
「火災保険に入っているから地震も大丈夫だろう」——違います。地震による損害(地震を原因とする火災を含む)は、火災保険では原則支払われません。地震国の日本で、この誤解の代償は大きすぎます。
地震保険の仕組み
- 地震保険は地震保険法に基づき政府の再保険で支えられる制度で、単独では加入できません——火災保険への付帯のみです。
- 保険金額の上限は火災保険金額の30〜50%(建物5,000万円・家財1,000万円が限度)。つまり地震保険は「生活再建の資金」のための設計で、家の全額再建を目的とするものではありません。
- 支払は損害程度の4区分(全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%)で行われます。
- 保険料は都道府県・建物の構造で異なり、耐震等級などの割引があります。支払った地震保険料には地震保険料控除(所得税で最高5万円——所得税法77条)があります。
借主が入るべきはこの2つ
- 建物自体は大家の問題です。借主に必要なのは、①家財保険(自分の家具家電)+②借家人賠償責任特約——失火で借りている部屋を焼いた場合の、大家に対する原状回復債務の不履行責任をカバーします(大家への責任は債務不履行なので失火責任法の免責が適用されません——大審院大正15年の判例以来の確立した実務です)。
- 仲介業者指定のパッケージ保険は保険金額が過大なことが多く、同等の条件を満たす安い保険を自分で選ぶことも可能です(特定の保険の加入を契約条件として強制することには独占禁止法・重要事項説明の観点から問題の余地があります)。
- ちなみに、隣家の失火が延焼してきた場合、重過失がない限り隣人は賠償責任を負いません(失火責任法)——だから自分の家財は自分で保険をかける。これは日本特有の重要な知識です。
被災したときの流れ
- 写真を撮る(修理・片付けの前に)→保険会社へ連絡→鑑定人の査定。市区町村の罹災証明書(災害対策基本法90条の2)は公的支援(被災者生活再建支援金など)の入口なので、早めに申請を。
- 大地震の後に現れる「保険金請求の代行」「もっと多く取ってあげる」業者はトラブルの元です(勝手な解約・高額手数料)——請求はもともと自分でできます。怪しい業者が来たらまず188へ。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-09-21)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。