人事評価が明らかに不公平——査定は法律で争えるか
2026-07-29
5秒でわかる結論
人事評価への不服を法的に争えるかを解説。使用者の裁量とその限界(マナック事件)、評価制度の不合理な運用・差別的評価が違法となる場合、証拠の残し方まで。
「業績目標を達成したのに最低評価」「セクハラを申告した後、急に査定が下がった」——人事評価は原則として会社の裁量ですが、裁量は無法地帯ではありません。
原則と例外
- 原則:評価項目の設定・評語の判断は使用者の人事権の裁量です——「評価が厳しすぎる」だけでは違法になりません。
- 例外(裁量権の濫用として違法となる場合):
- 制度・基準からの逸脱:評価規程の手続(自己評価・面談・二次評価)を踏まない、規程にない要素での評価。
- 重大な事実誤認:他人のミスを本人に帰責するなど、前提事実が客観的に誤っている。
- 不当な動機・目的:国籍差別(労基法3条)・性別(均等法)・育休取得(育介法10条)・ハラスメント申告への報復(労働施策総合推進法30条の2第2項)・内部通報への報復——これらは評価の形を借りた違法行為です。
- 効果:低査定に基づく賞与・昇給差額の損害賠償(マナック事件・広島高判平13.5.23労判811号21頁:裁量を逸脱した考課について損害賠償を認容)。
争い方の順序
- 材料集め:評価制度・基準の開示を求める(人事規程・評価シート)。自分の業績の客観数値・表彰・顧客評価を時系列で整理。
- 社内での異議:評価面談での異議・人事部門への申入れ(書面)——異議手続のある会社ではまず使います。
- 比較対象:同期・同職位との処遇差(差別の立証の核心)。
- 法的手段:不当な動機の類型なら労働局(均等・育介・パワハラ)・損害賠償請求へ。単なる「評価への不満」だけで勝つのは困難です——①②③のどれに乗るかの見極めが先です。
外国人に特有の視点
「日本語が下手だから最低評価」——職務と無関係なら労基法3条(国籍差別)の問題です。評価基準に明記のない日本語要求による一律の低査定は争えます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-07-29)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。