家賃タダの社宅・無料のまかないは「給与」です——現物給与の課税ルール、経営者が最も引っかかる
2025-07-31
5秒でわかる結論
会社が提供する社宅・食事・商品は税務上「現物給与」=給与課税の対象。社宅は賃貸料相当額の50%以上を徴収すれば非課税、食事は本人負担半額以上+会社負担月3,500円以下が条件。違反時の追徴は源泉徴収義務者である会社に来る。飲食店のまかないは要注意。
「住み込み・まかない付き」は飲食・建設業界の採用の売り文句です——しかし税務上、無償で提供する住居・食事は「現物給与」として原則給与課税の対象です。税務調査が最も突いてくるポイントのルールを整理します。
社宅:50%ルール
- 会社が借り上げた(又は保有する)住宅に従業員を住まわせる場合、本人から「賃貸料相当額」の50%以上を徴収すれば非課税、それ未満(無償を含む)なら差額全額が給与です(所得税基本通達36-41以下)。
- 「賃貸料相当額」は市場家賃ではありません——固定資産税の課税標準額を使う算式で計算し、通常は実際の家賃よりはるかに低額になります(実際の家賃の1〜2割ということも普通)。つまり設計次第で、会社が家賃15万円を払い従業員の負担は2万円でも適法に非課税にできる可能性があります——まず賃貸料相当額を計算するのが鉄則です。
- 注意:役員への社宅はルールがより厳格(豪華社宅は全額)、水道光熱費の会社負担分は原則課税です。
食事:半額+3,500円ルール
- 社員食堂・まかないが非課税となる要件(両方必要):①本人が半額以上を負担、②会社の負担額が月3,500円(税抜)以下(所得税基本通達36-38の2)。
- 無償のまかないは全額給与です——飲食店で最も多い指摘事項です。材料費等で評価され(通達36-38)、毎月の積み重ねで金額は大きくなり、数年分の追徴+不納付加算税が一度に来ます。
- 例外:残業・宿直の際に支給する食事は非課税(36-24)。深夜勤務者への夜食の現金支給には300円以下非課税の特例もあります。
その他のよくある現物給与
- 自社商品の値引販売(7割未満の割引部分は課税方向)、制服は非課税(所得税法9条1項6号——ただし「日常でも着られるスーツ」は課税)、慶弔金・忘年会費用は社会通念の範囲なら非課税です。
- 追徴の相手は会社(源泉徴収義務者)です:税務調査で現物給与の源泉漏れが認定されると、まず会社が納付し(所得税法221条)、従業員に求償する建前ですが——実務上は言い出しにくく、会社が被ることが多い。しかも社会保険でも現物給与(食事・住居)は都道府県別の標準価額で報酬に算入されます(健康保険法46条)——両面の対応が必要です。
- 設計のアドバイス:社宅・まかないを制度化する前に税理士に一度計算してもらい、本人負担額を規程に明記すること——採用の売り文句と税務リスクの回避は両立できます。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-07-31)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。