「子どもがいるので残業したくない」は権利——残業の免除・制限・深夜業制限の請求
2025-11-01
5秒でわかる結論
育児・介護を理由とする所定外労働の制限(残業免除)・時間外労働の制限・深夜業の制限(育介法16条の8以下)を解説。2025年4月改正で残業免除が3歳から小学校就学前まで拡大。
「毎日お迎えがあるから残業できない」——気後れする必要はありません。育介法は三段構えの「残業しない権利」を定めており、請求すれば法律効果が発生します。
三点セット
- 所定外労働の制限(残業の全面免除)(育介法16条の8・16条の9):小学校就学前の子を養育する労働者(2025年4月から3歳未満より拡大)・要介護家族を介護する労働者が請求すると、会社は所定労働時間を超えて働かせることができません——いわば「定時退社権」です。
- 時間外労働の制限(17条・18条):同じ対象者が請求すると、法定時間外労働は月24時間・年150時間が上限になります。
- 深夜業の制限(19条・20条):請求すると22時〜5時に働かせることができません。
請求のルール(共通)
- 開始日の1か月前までに書面で請求・1回につき1か月以上1年以内(深夜業は6か月以内)・回数制限なし(繰り返し請求できます)。
- 例外:事業の正常な運営を妨げる場合は会社が拒めます——ただし認定は厳格で、慢性的な人手不足は該当しません。
- 除外:雇用1年未満・週2日以下など(類型により労使協定での除外)。
- 請求・取得を理由とする解雇・降格・減給などの不利益取扱いは禁止です(16条の10・18条の2・20条の2)。
使い分けの実務
- まったく残業したくない→①所定外労働の制限。柔軟性を残して上限だけ→②時間外労働の制限。夜勤の免除→③深夜業の制限。併用も可能です。
- 男女とも使え、パートにも外国人にも適用されます。
- 「みんな残業しているのだから」という同調圧力に法的な力はありません——書面で請求した後の、制限を超える労働指示はそれ自体違法です。
関連制度
36協定自体にも一般的上限があります(月45時間・年360時間など・労基法36条)。妊産婦の残業・深夜免除は労基法66条(別ルート)。3歳未満の時短勤務(育介法23条)とは併用でき、「6時間勤務+残業免除」は法律が保障する働き方です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-11-01)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。