従業員が突然音信不通・無断欠勤——「自然退職」処理の正しい手順
2025-08-30
5秒でわかる結論
連絡が取れない社員を直ちに解雇扱いにはできません。安否確認→書面での出勤催告→就業規則の「無断欠勤○日で自然退職」条項の順で処理します。条項がない場合、解雇の意思表示の到達が難関(公示送達・民法98条)。外国人の場合の入管届出も解説。
従業員が1週間連続で無断欠勤、電話もLINEも通じない——「じゃあ辞めたものとして扱おう」という処理の後に「解雇は無効だ」と主張された例は、現実にあります。
第一歩:安否確認
- 電話・メール・LINE(記録を残す)。
- 緊急連絡先・身元保証人への連絡(入社時に取得していますか?——取得していないのは制度の穴です)。
- 自宅訪問(2人以上で・室内に勝手に入らない)。郵便受けの溢れ・電気メーターの停止などの異状→警察の安否確認(行方不明者届は家族ですが、会社も110番・所轄署への相談ができます)。病倒れ・事故・自殺の可能性への対応は、労務処理に優先します。
第二歩:書面での出勤催告
内容証明(または特定記録)郵便で:「○月○日までに出勤または連絡をしてください。連絡がない場合は就業規則第○条により処理します」——その後の処理の正当性はこの紙にかかっています。
第三歩:契約終了の2つのルート
- 自然退職条項(推奨):就業規則に「無断欠勤14日以上に及び、会社の催告後も連絡がないときは退職とする」——退職が当然に発生し(解雇ではない)、解雇予告が不要で不当解雇リスクも低い。この条項がない就業規則は直ちに補充すべきです。
- 懲戒解雇/普通解雇:無断欠勤2週間以上は懲戒解雇の典型事由です(判例上も承認)が、問題は解雇の意思表示が本人に到達する必要があること(民法97条)——行方不明者には送達できません。公示送達(民法98条:簡易裁判所の掲示+官報)で解決できますが時間と手間がかかります。自然退職条項はまさにこの難関を回避するためのものです。
後始末
- 最後の給料:支払義務は消えません——登録口座へ振り込みます。退職金・私物も同様に保管。
- 社会保険・雇用保険の資格喪失手続:退職日に従って処理します。
- 外国人の場合:中長期在留者の退職時、会社は入管への受入れ状況の届出が必要です(労働施策総合推進法上の外国人雇用状況届出も)——音信不通の外国人は不法就労への移行・失踪(技能実習等)に関わる可能性があり、放置は会社の受入れ資格に影響します。
- 家族(海外)への連絡:領事館の協力による安否確認ルートもあります。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-08-30)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。