「交通費が出ない」は違法か——通勤手当に法律上の支払義務はない
2025-07-08
5秒でわかる結論
通勤手当に法律上の支払義務はなく就業規則・契約で決まることを解説。規定すれば賃金として支払義務、非課税限度(月15万円)、割増賃金・最低賃金の基礎からの除外、不正受給の懲戒リスクまで。
交通費支給を当然と思っている人は多いですが、日本の法律は会社に通勤費用の支払を義務づけていません。
法律上の支払義務はない
労働基準法等に通勤手当の支払義務の定めはなく、通勤費用は原則として労働者の自己負担です。支給の有無・金額・上限はすべて就業規則・賃金規程・労働契約で決まります(実態として約9割の会社が支給していますが、それは慣行であって法律ではありません)。
規定したら支払義務がある
就業規則や契約書に通勤手当の定めがあれば、それは賃金(労基法11条)であり、不払・一方的減額は全額払原則(24条)違反です。求人票に「交通費支給」と書きながら実際は払わないのは、労働条件明示義務違反や求人詐欺の問題にもなります(職業安定法5条の3)。
通勤手当の法的性質——重要ポイント
- 非課税限度:公共交通機関の通勤は月15万円まで非課税(所得税法9条1項5号・施行令20条の2)。マイカー・自転車通勤は距離別の非課税限度表があります(例:片道10km以上15km未満は月7,100円)。
- 社会保険料の算定基礎には入る:通勤手当は標準報酬月額に算入され保険料は上がりますが、年金・傷病手当金等の給付も増えます。
- 割増賃金の基礎から除外できる:実際の通勤距離・費用に応じて支払われる通勤手当は除外賃金です(労基法37条5項・施行規則21条)。
- 最低賃金の計算からも除外(最低賃金法4条3項・施行規則1条)。
不正受給は懲戒事由
虚偽の通勤経路申請(実際は徒歩なのに電車代を受給、転居を申告しない等)は詐欺的な不正受給です。会社は返還請求でき、金額・期間によっては懲戒解雇が有効とされた裁判例もあります。転居・通勤方法の変更は直ちに申告しましょう。
在日外国人によくある問題
- アルバイトも同じで、契約上の定めがあれば受給でき、なければ請求できません。面接時に支給の上限・条件(最経済路線限定・月上限等)を確認しましょう。
- テレワークの普及で「出勤日数に応じた実費支給」への変更が増えています。不利益変更には合理性が必要です(労働契約法10条)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-07-08)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。