通勤途中のケガも労災——通勤災害の「合理的な経路」ルール
通勤途中のケガは労災保険の通勤災害(労災保険法7条)。合理的な経路・方法での移動が要件で、逸脱・中断後は原則対象外——ただし日用品の購入・子の送迎などは経路復帰後に保護が復活。
出勤途中に車にはねられた、駅の階段で転倒した——業務上の災害ではありませんが、労災保険には通勤災害の制度があり(労災保険法7条1項3号)、給付内容は業務災害とほぼ同じです。
「通勤」の定義
住居と就業の場所との間の往復等を、合理的な経路及び方法により行うこと(同条2項)。ポイントは次のとおりです。
- 会社に届け出た経路に限られません——合理的な代替経路(運転見合わせ時の迂回等)も含まれます。
- 方法は合理的であれば電車・バス・自転車・徒歩いずれも可。無免許運転など著しく不合理な方法は除外。
- 単身赴任者の赴任先住居と家族の住居の間の移動、複数就業者の就業場所間の移動も対象です。
逸脱・中断——寄り道のルール
合理的経路を外れる(逸脱)か移動を中断すると、その後は原則として通勤になりません。ただし日常生活上必要な行為(労災保険法施行規則8条)をやむを得ず最小限度で行う場合は、経路に復帰した後は保護が復活します。
- 日用品の購入(スーパーでの夕食の買い物)
- 病院の受診、選挙の投票
- 子どもの送迎(保育園・幼稚園)、家族の介護
注意:寄り道の「最中」(スーパー内での転倒)は保護されず、経路復帰後に復活します。飲み会帰りの事故は原則対象外です。
給付内容と自動車保険の関係
療養給付・休業給付(8割)・障害給付・遺族給付など。相手のある交通事故(第三者行為災害)では労災給付と相手方賠償が調整されるため、どちらを先に使うかは戦略判断になります。
会社側の注意
通勤災害には労基法上の災害補償責任はなく、解雇制限(労基法19条)も適用されません。ただし申請への協力、通勤経路の把握、自転車通勤者の保険加入確認などの管理は必要です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-05-07)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。