在宅勤務の電気代・ネット代は誰が払う?——テレワークの労働時間管理と費用負担
2026-05-26
5秒でわかる結論
在宅勤務にも労基法は適用され、労働時間の把握が必要です(厚労省テレワークガイドライン)。費用を労働者に負担させるには就業規則の定めが必要(労基法89条5号)。在宅勤務手当の課税と実費精算の非課税処理も解説。
在宅勤務が普及して定番になった問題:残業は付くのか?電気代・ネット代は誰の負担か?監視ソフトは合法か?
労働時間:在宅でも把握義務
- 在宅勤務にも労基法は完全に適用されます。会社には労働時間の把握義務があり(労働安全衛生法66条の8の3)、打刻アプリ・PC起動記録などの客観的方法が原則です。
- 中抜け(子どもの送迎・買い物):時間単位年休や休憩時間で処理できます。ルールを先に決めておくこと。
- 事業場外みなし労働時間制(労基法38条の2):要件は「労働時間の算定が困難」——通信ツールで随時指示・報告できる通常の在宅勤務は、多くの場合要件を満たしません(厚労省テレワークガイドライン)。「在宅=みなし8時間・残業代なし」という運用は危険です。
- 深夜・休日労働の許可制:在宅ではかえって隠れ残業が生じやすく、事前許可+事後報告制が標準的な対応です。
費用負担:ルールで決まる
- 労基法自体は負担者を定めていません。ただし労働者に費用を負担させる場合は就業規則への規定が必須(労基法89条5号)——規定がなければ会社負担の方向で処理されます。
- 実務の選択肢:①定額の在宅勤務手当(月3,000〜5,000円など)→原則課税(給与);②実費精算(在宅日数に応じた通信費・電気代の業務使用分)→国税庁の算式に従えば非課税にできます。
- オフィス機器(椅子・モニター):会社からの貸与(返還前提)は非課税、現金補助での買い切りは給与課税です。
よくある紛争
- モニタリング:PC画面監視・Webカメラ常時オン——労務管理上の必要性の範囲に限られ、過度な監視はプライバシー侵害の損害賠償リスクがあります。導入には規程の明示を。
- 「在宅可」は権利か:就業規則・個別合意の内容次第です。会社が一方的に在宅制度を廃止する場合、既に労働条件となっていれば不利益変更の問題になります(労働契約法9条・10条)。
- 外国人社員の「台湾からリモート勤務」:税務(PE・居住者判定)・社会保険・在留資格(長期出国)の3方面に論点があり、事前の設計が必須です——「リモートだからどこでも同じ」ではありません。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-05-26)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。