会社と役員の利益相反取引——承認手続と責任
2025-09-20
5秒でわかる結論
会社と役員の利益相反取引を解説。直接取引・間接取引(会社法356条1項2号3号)、取締役会承認(365条・当該取締役は議決不可=369条2項)と事後報告、無承認取引の相対的無効(最大判昭和43年12月25日民集22巻13号3511頁)、任務懈怠の推定(423条3項)・自己取引の無過失責任(428条)、役員給与認定の税務リスクまで。
会社から社長への貸付け、社長の不動産の会社への売却、社長個人債務の会社保証は、いずれも利益相反取引(会社法356条1項2号・3号)です。直接取引のほか、会社が取締役の債務を保証する間接取引も該当し、会社に損害のおそれがない取引(役員からの無利息無担保貸付け等)は除かれます。
手続
- 取締役会設置会社では取締役会の承認(365条1項・当該取締役は特別利害関係人として議決に参加できません——369条2項)、非設置会社では株主総会の承認が必要で、取引後の重要事実の報告(365条2項)も要します。一人会社・全株主同意の場合は承認不要とするのが判例法理です。
承認を欠いた場合
- 会社は無効を主張できますが、第三者に対しては悪意の立証が必要です(相対的無効——最大判昭和43年12月25日民集22巻13号3511頁)。会社に損害が生じれば関与取締役の任務懈怠が推定され(423条3項)、自己のためにした直接取引は無過失責任です(428条)。税務上は低額譲渡等が役員給与認定(損金不算入+源泉課税)となるため、時価取引が原則です。
実務チェック
- 役員関連取引の棚卸し、承認決議・議事録の整備、時価の根拠資料、金銭貸借の契約書化。融資審査・事業承継・M&Aのデューデリジェンスで必ず見られる箇所です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-09-20)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。