「何歳のときに日本に来たの?日本語分かってる?」——国籍を嘲笑する発言はパワハラ
2025-10-07
5秒でわかる結論
国籍や日本語能力を嘲笑する発言は、裁判所にパワハラと判断され得ます。外部弁護士の中立調査に基づく懲戒処分が有効とされた東京地裁判決を解説。
ある会社の課長が、韓国籍の女性社員に「あなた、何歳のときに日本に来たんだっけ?日本語分かってる?」と発言し、フロア中に聞こえる声で叱責し、そばに立たせたまま説教することもありました。彼女は何度もトイレで泣いていたといいます。
会社は、外部弁護士による中立調査を実施して報告書を作成し、それに基づいて課長を懲戒処分にしました。課長は処分を不服として提訴。東京地裁は、国籍を嘲笑する発言はそれ自体が重大な侮辱でありパワハラに当たるとして、懲戒処分を有効と判断しました(辻・本郷税理士法人事件・東京地判令和元年11月7日労経速2412号3頁)。
行政解釈も、パワハラ該当性の判断で考慮する労働者の「属性」に「外国人であること」を明示しています。外国人従業員の日本語を嘲笑することは、冗談ではなくハラスメントです。
経営者への実務対応
- 管理職研修で「国籍・語学は冗談の対象にしない」ことを、本件のような具体例で教える。
- 申告を受けたら「調査→処分」の順序を守る。外部弁護士調査→報告書→処分という本件の流れは、そのまま手本になります。
- 処分の重さは認定できた事実と釣り合わせる。本件の処分は訓戒(比較的軽い懲戒)で、事実と均衡していたからこそ有効とされました。いきなり懲戒解雇では、逆に処分が重すぎて無効になり得ます。
- 調査記録を保存する。行為者から訴えられたとき、当時の調査報告書が会社を守る最大の証拠になります。
- 被害者への事後ケア(席や業務の調整、結果の説明、報復がないかの確認)も忘れずに。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-10-07)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。