慶弔見舞金規程——非課税の範囲・賃金該当性・平等運用の三つの論点
2026-08-12
5秒でわかる結論
慶弔見舞金規程を解説。社会通念上相当額の範囲の非課税、規程で支給条件を定めた場合の賃金該当性、パート・有期への均衡待遇(パート有期法8条)、死亡弔慰金の受取人指定が固有の権利となり相続紛争を避けられることまで。
慶弔見舞金は「少額だが論点の多い」制度です。設計が良ければ非課税・報酬外の福利厚生、悪ければ課税・賃金扱い・差別の追及まで受けます。
税務上の扱い
- 結婚・出産祝金、弔慰金、傷病・災害見舞金は、社会通念上相当な金額の範囲で非課税です(所得税基本通達9-23、28-5等の趣旨)。
- 相場の目安:結婚祝1〜3万円、出産祝1〜2万円、本人死亡の弔慰金5〜10万円、家族死亡1〜5万円、傷病見舞1〜3万円程度。著しく高額な部分は給与課税されます。
- 非課税の範囲内なら社会保険の報酬にも算入されません。
労基法上の賃金該当性
- 慶弔見舞金は原則任意的・恩恵的給付=賃金ではありません(労基法11条)。
- ただし規程・労働契約で支給条件を明定(誰に・いつ・いくら)すると、会社の支払義務=賃金性が肯定されます。その場合は全額払・時効など賃金規制の適用に留意が必要です。
- 「だから規程を作らない」は誤りです——規程がなければ課税リスク+恣意的運用になります。規程を定めて誠実に支払うのが正解です。
平等運用と設計
- 対象事由と金額表:結婚・出産・本人死亡・親族死亡(親等の範囲)・傷病(連続欠勤○日以上など)・災害。
- 非正規の扱い:慶弔休暇・見舞金類の福利厚生について、パート・有期への不合理な差はパート有期法8条の問題になります——原則同一基準か、合理的な説明を。
- 死亡弔慰金の受取人:規程で「配偶者→子→父母」などの順位を指定すれば、受取人の固有の権利となり(遺産に属さず・相続放棄の影響も受けない)ます。指定がないと遺産分割の対象となり、会社が相続紛争に巻き込まれます——必ず指定を。
- 事実婚・同性パートナーの扱いも事前に決めておく(任意の領域ですが明確に)。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-08-12)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。