月初は暇・月末は多忙のシフト——1か月単位の変形労働時間制の正しい使い方
2026-02-25
5秒でわかる結論
1か月単位の変形労働時間制を解説。労使協定または就業規則による導入(労基法32条の2)、月の法定総枠(31日月177.1時間等)、各日・各週の労働時間の事前特定の要件、月中のシフト変更が原則許されないこと、違反時は通常の残業代計算に戻ることまで。
「うちは変形労働時間制だから残業代はない」——半分誤りです。変形制ができるのは「残業」の起算線を動かすことだけで、要件が崩れれば制度ごと無効になります。
仕組み(労基法32条の2)
- 1か月以内の期間を平均して週40時間以内なら、特定の日に8時間超・特定の週に40時間超を働かせても時間外労働になりません。
- 月の総枠は31日の月で40×31÷7≒177.1時間。この範囲で各日のシフトを組みます。
- 要件は、①就業規則または労使協定の定め②変形期間と起算日③各日・各週の労働時間の事前特定(期間開始前のシフト確定)。
変形制でも残業になるもの
- シフト8時間の日に9時間→超過分は時間外。シフト10時間の日に11時間→シフト超過分が時間外。
- 週も同様に、シフトが40時間超の週はシフト基準、他は40時間基準。
- 月の総枠超過分も時間外。深夜・休日割増は通常どおり適用されます。
無効になる典型——労働者側代理人の突破口(会社の自己点検リスト)
- シフトの月中変更の常態化:事前特定が生命線で、「忙しくなったら変える」運用は変形制不成立→日8・週40の原則で全部計算し直しの方向です。
- 規則・協定の定めがなく口頭だけ→無効。
- 「早番・遅番」とだけ書かれ時間が特定されていない、総枠を超えている→特定不十分の方向。
- 請求側の手法は決まっています:事前のシフト表と事後の勤怠記録を突き合わせ、その差分を証拠にする——会社は同じ資料で先に自己検証しておくべきです。
使用者側の設計上の注意
①規則・協定の整備②シフトは期間開始前に確定し中途変更は原則しない(やむを得ない事由に限る旨を規則に明記し運用でも抑制)③総枠の暦チェック④給与計算とシフトの連動。「名ばかり変形・実態は呼出し自由」は残業代訴訟の定番敗訴パターンです。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-02-25)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。