「不法滞在とは知らなかった」は言い訳にならない——不法就労助長罪と雇用前の確認義務
2026-04-07
5秒でわかる結論
不法滞在者を雇った・資格外の仕事をさせた雇用主は不法就労助長罪(入管法73条の2・3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)。在留カードを確認しなかった過失でも免責されません(同条2項)。2025年6月成立の改正法による罰則引上げの動向も解説。
「ビザがあると本人が言ったので信じた」——雇用側が立件される不法就労助長罪では、確認しなかったこと自体が過失であり、過失でも有罪です。
不法就労助長罪
入管法73条の2:①不法滞在者・無資格者に業務をさせる②外国人に資格外活動(許可の範囲超え)をさせる③これらをあっせんする——3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可)。法人も処罰されます(両罰規定)。
- 過失は免責されない(73条の2第2項):「在留資格を知らなかった」という抗弁は、無過失(なすべき確認をしても知り得なかった)の場合にのみ成立します——何も確認していない「知らなかった」はそのまま有罪です。
- 2025年6月に成立した改正入管法では助長罪の罰則引上げ(5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金)など厳罰化の方向です——施行後は雇用管理の重要性がさらに高まります。
- 付随する行政上の制裁:技能実習・特定技能の受入れ停止、経営・管理ビザ更新でのマイナス評価など、外国人経営者自身の在留にも影響します。
正しい確認方法
- 在留カードの原本を確認(コピー・写真は不十分):在留資格・期限・就労制限の有無欄。
- 資格外活動許可:留学・家族滞在は「原則就労不可」——裏面の許可印(週28時間以内等)を必ず確認。
- 偽造カード対策:出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリ」でICチップを読み取って照合——目視では見分けられない精巧な偽造カードが流通しており、読取アプリが現在の実務標準です。失効番号照会システムも併用を。
- 技人国等の場合:業務内容と資格の整合性(単純労働は不可)も確認——「カードがある」ことは「この仕事が合法」を意味しません。
- 雇用後:外国人雇用状況届出(ハローワーク)は義務です(労働施策総合推進法28条・未届は30万円以下の罰金)。期限管理(更新漏れ→オーバーステイの瞬間から不法就労)も雇用側の仕事です。
問題が発覚したら
雇用中の外国人が実はアルバイト超過・資格と業務の不一致だった場合:直ちにその状態を止める→適正化の可否を専門家に相談——隠して雇用を続けることは、過失犯を故意犯に格上げする行為です。本人も退去強制・上陸拒否期間に直面します。双方にとって早期の対処が最善です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-04-07)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。