従業員が職場で手を出した——暴行罪・傷害罪と会社の三重の責任
2026-03-06
5秒でわかる結論
職場の暴行・傷害を解説。暴行罪(刑法208条・2年以下拘禁刑等)と傷害罪(刑法204条・15年以下拘禁刑等)、会社の三重責任(被害者への安全配慮義務=労契法5条・対外的な使用者責任=民法715条・加害者への懲戒)、初動5段階(引き離し受診・カメラ映像等の証拠保全・警察対応・自宅待機・量定)、前兆放置のリスクまで。
従業員同士の口論から一方が手を出した。「ケンカだから」と放置するのは会社として最も危険な選択です。職場の暴力は犯罪であり、会社自身の責任にも直結します。
刑法——暴行罪と傷害罪
- 暴行罪(刑法208条):不法な有形力の行使。突く・掴む・殴りかかる(当たらなくても)・物を投げつける。2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金等。
- 傷害罪(刑法204条):暴行により怪我をさせれば15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。
会社の三重の責任
- 被害従業員への安全配慮義務(労働契約法5条):暴力・威嚇の兆候を知りながら隔離・対処しなければ、会社自身が損害賠償責任を負い得る。
- 使用者責任(民法715条):業務関連性のある加害行為について加害者と連帯責任。
- 加害従業員への懲戒:典型的な懲戒事由だが、双方・目撃者の聴取、証拠(防犯カメラ・診断書)、量定の均衡という手続は省略できない。
初動の順序
- 引き離しと受診(診断書は証拠にもなる)
- 証拠保全:カメラ映像は上書き前に即保存、目撃者聴取は当日・個別・書面化
- 警察対応:傷害事案で被害者の通報を会社が抑え込むと「隠蔽」の構図になる
- 暫定措置:調査中は加害側を自宅待機(原則有給)で物理的に分離
- 処分:事実確定後に量定。互いに手を出した事案と一方的な傷害では等級が異なる
予防
職場暴力には前兆(高圧的言動・物の破壊・威嚇)があることが多く、放置自体が安全配慮義務のリスクです。就業規則の懲戒事由明確化と通報窓口の整備が平時の備えです。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-03-06)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。