内部通報と公益通報者保護法——2025年改正で「通報者捜し」が禁止に
2026-06-14
5秒でわかる結論
内部通報と公益通報者保護法を解説。通報を理由とする解雇の無効・不利益取扱いの禁止、3つの通報ルート(内部・行政・外部)の保護要件、301人以上の体制整備義務、令和7年(2025年)改正による解雇・懲戒への刑事罰と通報者探索の禁止(2026年施行予定)、通報前の証拠確保まで。
会社の検査データ改ざんや社会保険逃れに気づいたとき、声を上げたら解雇されるのか——日本には公益通報者保護法があり、2025年改正で報復には刑事罰まで入りました。
保護の構造
- 保護対象は、労働者(派遣・退職後1年以内・役員を含む)が行う、一定の法令違反(刑事罰・行政罰の対象となる違反)についての通報です。
- 効果は、公益通報を理由とする解雇の無効、降格・減給等の不利益取扱いの禁止、通報者への損害賠償請求の禁止。
- 3つのルートと要件:①社内窓口(思料すれば足りる=最も低いハードル)②行政機関(信ずるに足りる相当の理由)③報道機関等(②+証拠隠滅のおそれ等の特別事由)。内部優先の設計ですが義務ではありません。
会社側の義務
- 常時使用労働者301人以上の事業者には内部通報体制の整備義務(300人以下は努力義務)。通報対応業務従事者には刑事罰付きの守秘義務があります。
2025年改正(令和7年6月成立)
- 通報を理由とする解雇・懲戒処分に刑事罰(行為者・法人の両罰)——「民事上無効」から「犯罪」へ。
- 通報者の探索の禁止が明文化——「誰が通報した」の犯人捜し自体が違法に。
- 通報妨害行為の規制、保護対象の拡大など。施行は公布から1年6か月以内=2026年中の予定です。
通報前の実務
- 証拠の確保が先:指示メール・録音・書類の写し(ただし機密文書の大量持出しは逆に懲戒事由とされ得るため、通報に必要な範囲で)。
- 社内窓口がない・信用できないなら、所管行政機関(労基署・消費者庁等)への通報も保護されます。
- 報復を受けたら、解雇無効の地位確認・損害賠償を。通報と不利益取扱いの時間的近接性が最有力の立証材料です。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-06-14)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。