経歴詐称が発覚——懲戒解雇できる場合・できない場合
2025-09-27
5秒でわかる結論
学歴・職歴・犯罪歴の詐称——最高裁は労働者の真実告知義務を認めました(炭研精工事件・最一小判平成3年9月19日労判615号16頁)。懲戒解雇できる詐称とできない詐称の分かれ目。
採用後に発覚した学歴詐称・職歴の偽り・犯罪歴の秘匿。懲戒解雇できるでしょうか。
最高裁——労働者には真実告知義務がある
炭研精工事件(最判平成3年9月19日労働判例615号16頁)の枠組みでは、雇用契約は信頼関係を基礎とする継続的契約であり、使用者が採用に先立ち労働力の評価に関係する事項について必要かつ合理的な範囲で申告を求めた場合、労働者は信義則上、真実を告知すべき義務を負います。同事件では最終学歴と刑事事件の秘匿等を理由とする懲戒解雇が有効とされました。
すべての嘘が解雇理由になるわけではない
判断の中心は「重要性」です。事前に真実を知っていれば採用しなかった(同条件では採用しなかった)といえる程度の重要事項の詐称かどうか。職務と無関係な事柄の秘匿では解雇は支えられません。
- 学歴:高詐称も低詐称(大卒秘匿)も裁判例があり、採用基準における学歴の意味が鍵。
- 職歴:職務に直結する経験の偽りは重要性が肯定されやすい。
- 犯罪歴:質問できる合理的範囲には限界がありますが、合理的な質問への虚偽回答は詐称となり得ます。
会社の実務対策
- 応募時に経歴申告書で重要事項の申告を求め、本人に署名させる。
- 就業規則の懲戒事由に「重要な経歴の詐称」を明記する。
- 発覚時は即解雇せず、事実調査→重要性の検討→弁明の機会。試用期間中なら本採用拒否の枠組みも検討。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2025-09-27)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。