台湾には資遣費がある、日本にはない——日台解雇制度の最大の違い
2026-01-18
5秒でわかる結論
台湾は法定事由+資遣費で適法に契約を終了できる。日本に資遣費はなく、お金では解雇は解決しません——日台の最大の違いと実務対応。
台湾の方からよく聞かれます。「日本の会社が従業員を解雇するとき、資遣費(法定退職金)はどう計算するのか?」——この質問自体が、日台最大の誤解です。
台湾の労働基準法では、法定事由(台湾勞基法11条等)があり、予告期間を守り資遣費を支払えば、適法に労働契約を終了できます。制度上「お金できちんと送り出す」ことが正規のルートです。
日本に資遣費の制度はありません。お金を払っても、30日の予告をしても、裁判所が「解雇しなければならないほどではない」と判断すれば解雇自体が無効です(労働契約法16条・解雇権濫用法理)。解雇が無効になると、従業員は依然として在籍しており、解雇期間中の賃金を全額支払うことになります。つまり日本では、お金では解雇の問題は解決しません。実務上は「退職勧奨」(合意退職の協議)で双方合意の退職条件をまとめるのが一般的で、これは一方的解雇とは全く別の手続です。
台湾人経営者への実務アドバイス
- 日本の解雇は「最後の手段」:日頃の指導記録がすべてを決める。「この人は難しい」と感じた日から、解雇通知ではなく指導記録を書き始める。
- 合意で別れたいなら退職勧奨で丁寧に話す:状況を説明し、条件(実務上は数か月分の賃金相当の補償が多い)を提示し、本人に決めてもらう。まとまったら合意書(退職日・補償額・清算条項)を締結。日本で最も一般的でリスクの低い解決方法。
- 試用期間を活用する:試用期間中の本採用拒否は通常の解雇よりやや広く認められるが、それでも客観的に合理的な理由は必要——「なんとなく合わない」では足りない。3〜6か月に設定し、期間中に密に観察・記録を。
- 有期契約は「満了すれば終わり」ではない:反復更新後の雇止めは解雇に類似した制限を受ける。対策は、契約書への更新上限の明示(例「更新は通算○年まで」)と、更新ごとの実質的な審査・記録。更新を自動の判子にしない。
- 最も危険な行動:台湾の感覚で、予告手当を払って解雇通知を出すこと。30日予告は最低限の手続にすぎず、解雇の有効性を保証しない。無効なら訴訟期間中の賃金を全額補償——2年争えば2年分。通知を出す前に日本の弁護士に相談を。
※ 本記事は一般的な法律情報であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。実際の案件については必ず弁護士にご相談ください。本記事の内容は記事作成日(2026-01-18)時点の法令・判例に基づくものであり、その後の法改正等により変わることがあります。